オランダのDutch Design Weekに出展していたとき、ひときわ目を引く作品があった。それはとあるイタリア人デザイナーの作品で、とても素敵な椅子だった。
思わず話しかけ、作品について話を聞いていると、彼女がこんなことを言った。「私の椅子で、ある男性は造形を一緒に眺めながらディテールについて話したがるし、あるおばあちゃんはゆったり座ってくつろぎながら話を聞いていたし、子どもたちは遊具みたいに遊んでいたの。椅子というひとつのプロダクトなのに、みんなが違う関わり方をしてくれて、うれしかった」。
それを聞いて、ふたりで「美しさって、そういうものなのかもしれないね」という話になった。
ある男性にとって、それは心惹かれる造形物だった。眺めることで、プロダクトを愛でていた。
あるおばあちゃんにとって、それは休む場所だった。穏やかなひとときを、プロダクトの上で楽しんでいた。
子どもにとって、それは遊具だった。好奇心をくすぐる何かがあり、遊びへと誘うものがあった。
おそらく、ひとりひとりが感じていたものはまったく違う。それでも確かにあるのは、老若男女がそのプロダクトに「惹かれた」という事実だ。
年齢や性別を超えて、誰もがそこに魅力を感じ、それぞれのやり方で関わりたくなる。そんな引力のようなもの。 それが「美」というものなんじゃないか、と思う。
そういう引力を持つプロダクトを、自分も作っていきたい。