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コミュニケーションの触媒

執筆者: 高橋鴻介

作成日: 2026.05.03最終更新日: 2026.05.03

読了時間: 約1分

最近、子供が生まれた。 赤ちゃんを連れていることで、話しかけられる頻度が増えた。 「かわいいですね」とか「何歳なんですか?」とか、そういったマイクロコミュニケーションがたくさん発生する。

赤ちゃんは喋れないので、自然と私と相手の会話になる。結果として、それがとても自然な会話のスターターとして機能していることに気がつく。

2000年にイギリスで行われた実験「Dogs as catalysts for social interactions: robustness of the effect」によると、犬と一緒にいる人のほうが社会的交流の頻度が増加し、特に見知らぬ人から話しかけられることが多くなると報告されている。

面白いのは、そこにいる「その人自身」はなにも変わっていないが、犬や赤ちゃんという存在がいることで、その人とコミュニケーションをはじめるハードルがぐっと下がるということだ。

MITメディアラボの教授であるKarrie Karahaliosは、自らの研究の中で、こういった「人々の交流を自然に誘発する仕掛け」のことをSocial Catalyst(社会的触媒) と定義している。

主にこれは、空間設計の文脈で話されることが多いワードのようだが、拡張して解釈すると、プロダクトや遊びといったものも、社会的触媒になりうるんじゃないかと思っている。

社会的触媒となるプロダクトがその場にあることで、その人自身のコミュニケーション能力によらず、まるでPCに外付けHDDをつけるように、その人自身のコミュニケーション能力が向上するのである。

それはその人がコミュニケーション下手であっても、その能力を底上げできるという可能性を持っている。